夕蜘蛛追って

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【Sundered: Eldritch Edition】 プレイ感想◆穢れ大好きおじさんに導かれ…

昨年プレイしたSpiritfarerが人生で最も好きなゲームの一つになったので、
同じThunder Lotusからリリースされている繋がりで
Sundered: Eldritch Editionに手を出しました。

 

 

クトゥルフ神話をベースにしたメトロイドヴァニア

地下世界に閉じ込められてしまった女性主人公エシを操作して、
古代遺物やスキルを獲得しながら敵に立ち向かいます。
道中では(エシに憑いてる?)トラペゾヘドロンなる
ガイドのおじさんが地下世界の歴史的なやつをしばしば語りかけてきます。

 

探索するのはボス部屋やスキル強化ができる部屋のみ固定の自動生成マップ。

探索して地図を埋める作業が好きなので、

個人的には死ぬ度に自動生成じゃない方が良かったな。

 

探索時には数十匹のザコ敵が奇声を上げながら襲ってきます。

敵は固定のポイントを徘徊しているわけではなく、

突然群れで主人公目がけて突撃してくる仕様。

 

上下左右からもみくちゃにされるため、
スティックをガチャりながら攻撃ボタンを連打すれば誰かしらに当たる。
シビアな操作は求められない分アクションが苦手な自分でも逆に大丈夫でした。

奇声パート担当のクロウラーくん。
カオナシっぽいなあと思っていたら、インスピレーション元だと公言されてた。

突然に大量の敵が湧いて一斉に襲いかかってくるというのは一見理不尽ですが、
体力を肩代わりしてくれる自動回復シールドが優秀で
ボス部屋に着くまでに体力・回復薬を消耗してしまうようなことが少ないのはありがたかったですね。
死んでも経験値はロストしないし、
スフィア盤のようにステータスを強化していく作業は好みでした。

 

道中では時限スキルを獲得できる謎オブジェが見つかることがあります。
防御力アップや幸運アップ(敵からの経験値が増える)、
複数敵を貫通して追加ダメージを与えるスキル(エフェクトも派手で楽しい)など有用なものばかりですが、
何に作用しているのかさっぱりわからないものがちょいちょいありました。

わかる

わかる

わからない

序盤のうちは湧き出る敵群と少ない体力にストレスを感じましたが、
ステータスやダッシュ・ジャンプ強化をしていくうちに尻上がりに面白くなりました。
ぬるっぬるのアニメーションと相まって、
空中滑空やワイヤー移動のアクションがスタイリッシュでめちゃくちゃ気持ち良い。

アクションゲームの終盤で心折れがちな自分には珍しく、
終わりに近づくほど快適にプレイできた気がします。

 

以下、世界観や作品設定のネタバレを含みます

 

 

人間性を犠牲に穢れの力(=エルダーシャード)による強化を「受容」するのか、
あるいは穢れの力に「抵抗」し人間としての力のみで生き抜くのか、
という「受容と抵抗」・「人間性」がテーマの作品であり、

キャラビルドにおいても「移動・戦闘のために強力で穢れたスキルを手に入れるか」

「ステータス強化とプレイヤースキルのみで進むか」を

選択しながらエシを強化していく必要があります。

 

穢れの力を手にすることで人間性を失っていく…という設定なのですが、

作中では性格や出自といったエシ個人の人間性がわかる部分ってほぼ無いんですよね。

セリフが無いので序盤は女性であることすら気付いていませんでした。

 

彼女の人柄がわからないので穢れの力を使って強化することにまったく抵抗感が無く、

また唯一の話し相手である(一人で勝手に喋ってる)トラペゾヘドロンおじさんが

エルダーシャードによる強化スポットに誘導して利用を推奨してくるため、

我がデータのエシは無事に全身穢れ全開のエルダーシャード生物になりました。

というかいくつか使った後で実はエルダーシャードを破壊できると知りました。

 

ロード画面のTIPSでも「受容と抵抗を選択しろ」という文面が何度も出てきますが、
初見で普通にプレイする時にはスキル強化を縛ろうとか思わないよなあ。


クリア後、公式ニュースレターでエシの設定を知りました。

数世紀前の災害によって荒廃した土地で、
放浪民の集団のメカニックとして活動していたのが主人公であるエシ。
行方がわからなくなった仲間を探しに出た際に
災害の元凶である旧時代の地下世界に迷い込む。

 

エシのバックグラウンドが作中で語られないのは、
生きるか死ぬかという荒廃した世界において
生き残りの人類たちの「その日その日を生き延びる」という
生き方を強調するための制作チームの選択だったと。

 

このへんの事情は語られなさすぎだと思う…というかそもそも漫然とプレイしていると
「旧時代の力によって災害が引き起こされた」ことすら頭に入ってこないんですよね(自戒)。

元の世界での彼女と仲間たちの日常、
穢れの力を使うことへの葛藤、穢れの力を使った後の変化なんかが
描かれていたら「受容と抵抗」についてもっと意識してプレイしていた気がします。

 

 

エシの人柄についてもっと描写があれば良かったと思う理由がもう一つ。

キャラクターが自身の選択によって

人から外れていくというシチュエーションが好きだからです。

 

「ズトッグァの翼」発動中の悪魔にしか見えない姿も驚いたのですが、
「アトラク=ナカの足」獲得により
虫のような姿で壁をシャカシャカ走る彼女の姿を見た時には
ショックを受けると同時にたいへん興奮しました。
NTRに近い嗜好なのかもしれません。
醜ければ醜いほど、人の姿からかけ離れているほど良いです。

 

エシ本人が嫌々ながらなし崩し的に、あるいは暗い覚悟をもって

人間をやめていく過程も見てみたかったですね。

シャカシャカ…

 

謎地名

マップ内の地名はクトゥルフ神話における要地とかかと思っていたのですが検索してもヒットせず。

公式ブログを見て後から知ったのですが、

これらはこの作品のために作られた"Eschaton language"なる言語らしいですね。

Chromeの翻訳機能だと「エシャトン語」と訳されますが、エスカトン語」の方が良いのかな。

 

ドイツ語や古英語をベースにかなりガチめに作りこまれており、

トラペゾおじさんの音声もこの言語でレコーディングされているとか。

プレイヤーに伝わりづらい細部にまでこだわる開発元は信頼できる。

 

500円程度のセール価格で購入してしまったのですが、

どう考えても安すぎるクォリティでした。

受容ルート(難易度正常)のみクリアで終了としましたが、
世界観や設定の見返しも含めて抵抗ルートにもいつか挑戦するかもしれません。

 

どうでもいいけど、アバターとして配布されているイラストの

エシの力強い口元がいつ見ても気になってしまう。

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ハード:Nintendo Switch
プレイ時期:2022年6月下旬
プレイ時間:25時間
好き度:★8.5/10
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このプレイ感想自体は7月中に少しずつ書いていたのですが、

初リリース日の2017年7月28日からちょうど5年ということに

今日(2022年7月28日)気づき、急いで〆ました。